平成26年度前期の授業について

(1)基礎現代化学(教養学部前期課程1年、火曜日2時限・金曜日2時限)
講義題目:原子・分子の目で見る化学入門−化学の基礎概念をつかむ−

授業の目標、概要
 「化学」は,むやみに物質の名前を憶えたり,反応式を暗記するような学問ではない.「化学結合論」や「反応論」,「化学熱力学」などの基礎的な概念に基づいて,この世に存在する多様な物質の構造,性質,変化を体系的かつ包含的に取り扱うことができる学問である.ひとたび,このような“化学的な物質観”を身につければ,一見複雑で無秩序に見える化学現象を分子のレベルで理解することができ,新たな現象や物質の存在を予測することも可能となる.
 「基礎現代化学」では,これまでに高校の化学で学んできた事柄から,身近な化学現象や興味ある物質,最先端の研究例に至る様々な題材を取り上げ,その根底にある原理をできるだけ平易に解説する.これによって,化学の学問体系を大づかみに理解すると共に,化学の基礎となる原理に触れることによって化学のダイナミックな面白さを学ぶことを目的としている.
 また,「基礎現代化学」は,2学期以降に開講される必修科目「物質科学基礎 構造化学」,「物質科学基礎 物性化学」への入門的な役割をもつ授業科目となっている.

○ 原子の構造: 原子の誕生,原子と電子,原子の周期性など
○ 分子の形成: 化学結合,分子の形,分子の中の電子など
○ 光と分子 : 光の吸収と放出,分子のスペクトルなど
○ 化学反応 : 光反応,結合の切替え,変化の方向,反応速度と平衡など
○ 分子の集団: 分子間に働く力,分子システムなど

授業計画 
以下の項目について,講義を行う。
1.はじめに:化学の役割,本講義の位置づけ
2.原子の構造(1):原子核と電子
3.原子の構造(2):原子軌道と元素の周期性
4.分子の形成(1):化学結合の形成
5.分子の形成(2):分子軌道とエネルギー
6.分子の形成(3):分子の形は何によって決まるか
7.光と分子(1):物質による光の吸収
8.光と分子(2):光を吸収した分子の振舞い
9.光と分子(3):光による分子の計測
10.化学反応(1):化学反応のしくみ
11.化学反応(2):変化の方向を支配する因子
12.化学反応(3):化学反応と化学平衡
13.分子の集団:分子間力と分子集合体

授業の方法:プリントとパワーポイントに基づいて、授業を行う
成績評価方法:期末試験とレポートによる